住み替えで所有物件を売却する場合、あらかじめ「売り先行」または「買い先行」にするかを決めておくのがおすすめです。

「売り先行」とは、住んでいる物件を先に売却し、その譲渡所得で新しい物件を購入する方法を指します。「売却代金で残っている住宅ローンを返済したい」「物件をできるだけ高く売りたい」という方に向いている方法です。しかし、売買契約が成立したときに住み替え先が見つかっていなければ、仮住まいを契約しなければならないケースもあるので、注意しましょう。

一方、「買い先行」は、住みたい物件を先に探して購入を済ませてから、自宅を売却する方法です。新規物件の購入を済ませてから売却を行うため、できるだけ新居探しに時間をかけたい方に向いている選択肢と言えるでしょう。しかし、住宅ローンを組んで新居を購入した場合、以前の物件がなかなか売れず返済も残っているとローンの負担は二重になります。

「売り先行」「買い先行」どちらもメリット・デメリットのある選択肢ですが、仮住まいや二重ローンのリスクを減らすなら、しっかりとした資金やスケジュールの計画が重要です。

住み替えで適用できる減税措置には、「3,000万円の特別控除の特例」「住宅ローン控除」「買換え特例」の3つがあります。

• 3,000万円の特別控除の特例

自宅を売却した際に、一定の要件を満たせば、所有期間に関係なく譲渡所得から最大3,000万円を控除できる特例です。譲渡所得が3,000万円以上であれば3,000万円が控除され、3,000万円以下であれば全額が控除されます。

• 住宅ローン控除

個人が住宅ローンを活用して新居を購入する際に、一定の要件を満たしていると、所得税や住民税から控除が受けられます。ただし、「住宅ローン控除」は「3,000万円の特別控除の特例」と併用できません。譲渡所得額によっては、「3,000万円の特別控除の特例」を適用するよりも、新居に対して住宅ローン控除を活用した方がお得になる場合があります。

• 買換え特例（譲渡益の課税繰り延べ）

一定の要件を満たす場合、譲渡益が出ても課税を繰り延べることができる特例です。例えば、住み替えに伴い新しい自宅を購入する場合、売却時の譲渡所得に対する課税を先送りし、将来の売却時まで繰り延べることが可能です。ただし、「3,000万円の特別控除の特例」との併用はできません。

住み替えで不動産売却と物件購入を並行する際は、それぞれの減税措置を比較し、最も有利な方法を選択することが重要です。